7月4日、青森県社会福祉士会ぱあとなあ主催の「福祉関係者のための成年後見活用講座」にて、任意後見契約のコマで講師を担当させていただきました。
福祉視点からの任意後見契約って、色が違うというか…本来の後見制度の理想型との違いを感じます。
講話の中でもお話ししましたが、本来、後見制度は家族救済のための制度であること。わかりやすく言えば認知症など判断能力低下になった場合、家族であっても勝手にお金を下ろしたり、契約行為を代理したりすることはできないという法律上の解釈があるからです。
そう言った場合に、家族が困ってしまうから任意後見契約を交わしておいて、その「判断能力低下」に備えて準備を先にしておきましょう!という終活的な意味合いがあります。
それに対して福祉の現場では、身寄りがなく、家族の代わりにに動いてくれる人が必要、施設に入るのに家族登録が必要とか、お金の支払いや手続き代行、そして亡くなり後の死後の事務が必要などなど…
つまり本来効力を発揮する「判断能力低下時」だけの後見制度では全然利用ニーズを満たさないため、元気なうちから(例えば身体的理由でお金管理や手続き行為ができない)代理行為をお願いしたいという『委任代理契約』や、亡くなり後、後見人の効力が終了した後でも残債の支払いや火葬埋葬手続き、行政や年金、ライフライン、その他の契約の解除行為を担う『死後事務委任契約』などを組み合わせて任意後見契約を補完する必要があります。
後見人つけたら全部やってくれるんでしょう?みたいな解釈をされがちですが、案外そこまで万能ではありません。福祉関係者としては、この場合はこの制度でカバーできる!逆にこの場合はできないからこちらを活用すべき!というように社会資源や制度を幅広く理解して、必要にあわせて専門家につなぐ!というような役割が非常に大事だと思います。
この日は60人ほど御参加されていたようです。先日は社会福祉士会の研修開催側であれこれ準備してきましたが、1週間のうちに今度は講師と、アグレッシブに動いてました。
ただ、伝えたいことを言語化するのは意外と難しい。スライド作りすぎたのもありますが、ちょっと30分では伝えきれなかったかなと反省。
よく理解して、うまく活用できれば利用者として将来の安心に繋がります。そういう意味で福祉従事者として有効活用できるように発信していきたい!そう考えています。