ここ最近も色々勉強の機会をいただいています。
先日某NPO法人様主催の事例検討会に参加させていただきました。「家族信託」についてです。後見人の業務をやりながら、選択肢としてよく耳にする言葉です。
ザックリいえば財産の一部を元気なうちから一部切り離して信託口座等を活用しながら、ことばのとおり「信じる家族に委託する」ものです。講師の司法書士の先生の家族を引き合いにした具体的な例がわかりやすかったです。家族信託については、受託者、委任者(大半は委任者が受益者となる)の信託契約で成り立つもの。
その契約は公正証書で行われるということで、任意後見契約の図式にも似たところがありますが、後見制度はあくまで本人の認知機能の低下をもって、はじめてその効力が生ずるものです。家族信託においては元気なうちからお金の使い道も柔軟に本人の意志をくみとることが可能という部分(孫の学費援助してあげたい!など)、また管理する不動産などは相続の際に有効な節税対策としても活用できる可能性もある、そんなメリットもあるようです。
特に印象に残ったのは、「家族信託だけど」友人でも信託契約結べること。親族はなかなか頼めそうな人がいないけど、友人知人ならいるよ!という方もいると思います。まだ制度としては8年位と新しいもので、リーディングケースの積み上げなど制度としてのブラッシュアップがこれからというものだそうですが、この制度がマッチする方も結構多いのではないかと思います。とても有意義な研修でした。
終了後に、信託口座はどの金融機関で作られる?とか後見人でいう裁判所や監督人がいないなかで財産の管理状況はチェック機能がどう働くのか?信託以外の財産の代理についてはどうなる?など色々聞いてみたい内容も出てきました笑。今後また機会を作って研修会を開いてくれるそうなので参加したいと思います。
私自身は身寄りがなかったり、すでに認知症を発症したかただったりという相談が多いため、なかなか家族信託の選択まで検討する機会は少なかったですが、身元保証サービスなど、そのお客様のニーズによって選択肢を増やすことは凄く重要と思います。当法人も「福祉サポート」をうたうため、後見人以外のサービスが必要な場合は、他の専門職の方へ橋渡しすることも行っています。最近は自宅の処分や、旅行の際の手続き相談など色々な一時相談をうけることも増えてきました。私自身も色々な勉強や経験をさせていただきながら多様なケースで相談にのれるようにしたいなと考えています。
法定後見については、今まで申立に対して受任を引き受けるという形が多かったので、自分で申立の書類を確認するのは受任後の裁判所での情報確認のときでしたが、訳あって親族申立するので後見人候補者として必要書類が揃ってるか見ていただけないか?というご依頼がありました。
申立人の代理人として弁護士、司法書士の専門職の方が士業として作成するケースもありますが、申立の費用負担が「申立人」となった場合に費用の捻出もなかなか大変ということもあるとのこと。こうやって親族であれこれ作成するケースもあるんですが、結構必要書類が多く大変だと思います。市役所いけば全部揃うわけではないので、法務局とのやりとりや本人(対象者)の財産や施設のこと、医療機関とのやりとり、親族とのやりとりなどその内容は多岐にわたります。ただ、この書類はこういう手順をとって進められるよ!とか、この部分が足りないと思いますよといったアドバイスを行えることで、私にとっても相談の幅が広がると考えております。
時効援用についても勉強する機会をいただきました。後見人や財産管理委任契約において結構困るのが「借金が出てきた」というケースです。当初の調査では確認できないことも多く、また借用した本人が認知症などの問題から全く自覚していないケースもあります。
テレビでもよく「借金、過払金に関しての〜」なんて弁護士さんのCMを見ることもありますが、実際通知書、督促状など頻繁に送られてくると、やはり心穏やかにはいられません。時効援用に関しても「そのままにしておけば大丈夫だよ〜」と言うかたもいるようですが、間違って本人が債務承認したり、訴訟起こされたりすると、時効援用できず支払義務が新たに生ずる危険もあります。
債権者としてはお金を返してもらうのも当然の権利ですので、郵便での通知だけでなく自宅や施設への訪問などもあり得ます。当然、当法人の業務として対応できる案件ではありませんので、司法書士や弁護士の先生と連携して対応させていただきますが、やはり「年数も経っているし、そのままにしておこう」という発想は危険である。という認識と共に「時効援用の手続きをきちんと行う」ことでそのお客様本人にとっても後見人等の事務受任者にとってもリスク管理に繋がると考えています。