任意後見契約受任
まだ、本人に判断能力のある元気なうちに公正証書による「契約」で将来認知症など判断能力が低下した場合に、自分が選んだ人に任意後見人として就任してもらう制度です。法定後見は家庭裁判所が後見人を選任するのに対し、自分で後見人を決めれるというメリットがあります。

任意後見契約利用の流れ
- 初回相談にて制度の概要を説明。現在の状況確認や、お客様の要望を確認します。
- お客様の要望を「提案書」にまとめ、具体的な契約の内容や報酬・契約費用の確認を一緒にしていただきます。
- 任意後見契約は法律上「公正証書」で作成する決まりとなっています。契約の内容について公証役場と打ち合わせをします。
- 公証役場での契約日を設定し、事前に必要書類を用意します。(契約書は公証役場にて作成してもらえます)
- 事前書類は実印、印鑑証明書、戸籍謄本、住民票、法務局登記費用2,600円の収入印紙です。
- 印鑑証明書はマイナンバーカードがあれば不要です。印鑑も実印でなくても大丈夫となります。
- 公証役場にて公証人を交えて依頼者、受任者同席で任意後見契約を締結します。
- 病院入院中や歩行困難などの理由がある場合は、公証人が出張して契約することもできます。(別途出張費用が掛かります)
- 契約終了後は任意後見契約受任者として法務局に登記されます。その後は実際の後見人効力発効時期まで定期訪問や見守りをして状況を随時確認します。
任意後見人の業務と留意点

任意後見人も、法定後見人と同じように財産の管理や手続き行為の実施、医療や障害・介護サービスの契約締結や入院入所時の緊急連絡先対応を行います。
実際の業務が開始される(委任者が認知症等判断の応力が低下した)前に、「任意後見監督人選任申立」を行う必要があります。こちらは契約者である任意後見契約受任者も申立ができます。注意点として成年後見人には認められる契約などの「取消権」が任意後見人にはありませんのでよくご確認ください。
法定後見の場合は後見人の事務を家庭裁判所が直接確認し必要に応じて指導等を行いますが、任意後見契約の場合は後見人が適切に事務を行っているかの確認を、チェック機能として任意後見監督人が行うことになります。

任意後見契約は「就活」の意味合いが強くなります。元気なうちに具体的にしてほしいことなどを「ライフプラン」にまとめておくことで、実際の後見事務の内容を委任者本人が理解でき安心できるのが一番のメリットです。法定後見の場合と違い、委任者の意向が反映されやすくなります。
また、任意後見契約は委任者の置かれている状況に合わせて、他の契約と組み合わせて公正証書を結ぶことができます。例えば、すでに入院中であったり、健康上の問題、少しずつ物忘れが出始めているなどの状況から、まだ認知症などまでは至ってないが不安が大きいので事前に財産管理などを頼んでおきたいという「財産管理等委任契約」を一緒に依頼したりすることも可能です。※詳しくは業務内容「各種委任契約」を御覧ください。
任意後見契約 費用の目安
- 【公正証書契約費用①】任意後見契約単体の場合、公証役場への契約料金は2万〜3万円程度となります。
- 【公正証書契約費用②】任意後見契約に合わせて「財産管理等委任契約」と「死後事務委任契約」などを組み合わせた場合は約5万円ほど契約料が掛かります。
- 【公正証書契約費用③】公証人が出張して任意後見契約を締結する場合は、その距離に応じて数万円出張料が加算されます。
- 【公正証書契約費用④】公正証書契約費用は受任者ではなく公証役場に支払いになります。
- 【後見人報酬】契約に際して委任者と受任者で話し合い決定します。当法人では法定後見人の報酬目安と同等(約2万円)に設定しています。
- 【任意後見監督人報酬①】任意後見契約の注意点として、報酬は任意後見監督人にも発生します。ここは必ず確認してください。
- 【任意後見監督人報酬②】監督人の報酬は法定後見同様に、家庭裁判所が委任者の財産や監督事務の内容によって決定します。